債務超過なのにBランク ── MCSSは「返せるかどうか」を重視する
債務超過でBランクの会社
MCSSを見ていると、ときどき不思議な会社に出会います。貸借対照表は債務超過。それなのに、ランクはB(優良レベル)。まれにAが付くこともあります。
銀行の目線では、債務超過は要注意先です。融資に応じるのは、簡単ではありません。その感覚からすると、Bという判定はどうにも腑に落ちない。
では、MCSSが間違っているのか。必ずしも、そうとは言えません。
債務超過でもデフォルトしにくい会社とは
MCSSのランクは、1年以内にデフォルト(3カ月以上の延滞など)する確率で決まります。
よって、「債務超過のBランク」が意味するのは、BSが債務超過でもデフォルトしにくい会社が存在するということ。
では、どんな会社か?
それはずばり、債務償還年数が10年を切る会社です。
[債務超過Bランクの例]
債務償還年数とは
債務償還年数は、銀行が非常に重視する指標です。借入金を何年で返せるか、を示します。目安は、一般に10年以内が「正常先」。短ければ短いほど、評価は高くなります。
債務償還年数の計算式は、銀行によって異なります。銀行借入金のうち「利益から返すことになる借入金」を、簡易計算の営業キャッシュフローで割るものです。
[債務償還年数の計算式]
債務償還年数は、MCSSのスコア(CRDスコア)にも強い影響を及ぼします。私の分析では、スコアとの相関係数はマイナス0.6くらい(短いほどスコアが高い)。債務超過かどうかよりも、重い係数がかけられている印象です。
MCSSのスコアと相関が強い計算式は(A)です。有利子負債の全額を返す前提で見るので、最も厳しい基準です。よって、(A)で債務償還年数が短ければ、返済力は確かです。
債務超過でも借金は返せる
そもそも中小企業は、債務超過に陥りやすい。たとえば資本金100万円でスタートした会社が、200万円の赤字を出せば、それだけで100万円の債務超過です。
しかし、その赤字は済んだ話。過去の傷は、今年の稼ぎを減らしません。本業が黒字に戻れば、返済原資は毎年きちんと出ます。「純資産はマイナス」でも「毎年しっかり返せる」が、同時に成り立ちます。
MCSSが債務超過の会社にBを付けるのは、この点を見ているからです。
銀行は、債務超過という一点で身構えますが、そこにこだわりすぎると、返せる会社を見逃します。(特に小規模企業)
債務超過という過去と、返済力という未来。この二つを切り分けることの重要性を、スコアリングモデルが裏づけている、と言えるのではないでしょうか。
