銀行は「試算表」をどう見ているか
1.試算表の見方は格付によって異なる
社長「銀行に試算表を出すように言われているんですが、あれってどのくらい重要なんですか?」
安田「実は、試算表の重要度は、その会社の格付によって大きく変わります。」
社長「格付によって、ですか?」
安田「はい。銀行は融資先を大きく3つに分けています。積極対応先、現状維持先、消極対応先の3つです。」
安田「まず、積極対応先。財務内容が良好で、銀行が融資シェアを拡大したいと考えている先です。この場合、銀行は最初から『貸す』と決めているので、試算表のチェックも甘くなります。」
社長「試算表の内容が原因で融資を断られることは、あまりないと。」
安田「そうです。次に、現状維持先。銀行からみて内容がもうひとつよくない先です。新規融資は案件ごとの判断になります。」
社長「試算表のチェックは厳しくなりますね。」
安田「はい。『前期に比べて売上が落ちていないか』『赤字体質に陥っていないか』など、警戒心をもってチェックされます。」
安田「そして消極対応先。業況や貸出条件に問題がある先です。そもそも新規融資に応じるつもりがないので、試算表は『様子を眺める』程度の扱いになります。」
社長「つまり、格付が真ん中あたりの会社が、一番気をつけないといけないわけですね。」
安田「その通りです。現状維持先は、試算表の内容次第で判断が変わる可能性があるので、提出のタイミングや見せ方が重要になります。」
2.売上トレンドに銀行員は大きく左右される
社長「試算表では、やっぱり利益を見られるんですか?」
安田「実は、利益よりも『売上』のほうが重視されます。」
社長「売上ですか。意外ですね。」
安田「銀行融資は年1回の決算書で決まる格付がベースです。試算表が一時的に赤字だからといって、すぐに方針が変わるわけではありません。」
安田「それよりも銀行員が気にするのは、売上のトレンドです。前回の決算まで増収を続けている会社の試算表は、その分、楽観的にチェックされます。」
社長「へえ。じゃあ、自分ではここ数ヵ月の業績がひどいと思っていても、銀行はそう見ていないこともあるんですか?」
安田「十分あり得ます。増収トレンドの会社なら、直近の数字が多少悪くても、銀行はそこまで深刻に受け止めません。」
安田「逆に、減収トレンドの会社は要注意です。足元の数字がよくなっていても、なかなか『業績が回復した』とは見てもらえません。」
社長「銀行と自分との認識にギャップがあるかもしれない、ということですね。」
安田「はい。銀行交渉では、この認識の違いを意識することが大事です。自社のトレンドが上向きなら、それを前面に出して説明する。下向きなら、改善の根拠をきちんと示す。そういう工夫が必要です。」
3.貸出稟議で必要になる情報
社長「銀行の担当者は、試算表をどう使っているんですか?」
安田「銀行の担当者が行内であげる貸出稟議書には、期中の業績について何らかの数値やコメントを書く必要があります。その根拠になるのが試算表です。」
安田「ですから、試算表を提出できない会社は、それだけで融資がおりにくくなります。」
社長「稟議書に書けることがない、ということですね。」
安田「そうです。担当者は、直近6ヵ月くらいの月商をもとに、繁忙月の売上はどうか、通常月はどうかといった傾向を稟議書に書かなければなりません。」
社長「平均月商ではなく、月ごとの売上が必要なんですね。」
安田「その通りです。何月にいくら売り上げたかという月商データが必要です。この辺りの質問を担当者から受けたら、丁寧に答えてあげるとよいでしょう。」
安田「さらに半期を過ぎた頃になると、今期決算の着地見通しが必要になってきます。稟議書には、今期決算の予想を書く欄があらかじめ用意されていることが多いんです。」
社長「それは、こちらから出したほうがいいんですか?」
安田「はい。月次損益を積み上げた計画数値を銀行に提出すると、非常に効果的です。担当者が稟議書を書きやすくなりますから、融資の判断もスムーズになります。」
4.赤字見通しを伝えるタイミング
社長「もし今期の決算が赤字になりそうな場合、いつ銀行に伝えるべきですか?」
安田「これは注意が必要です。あまり早い段階から赤字見通しを伝えるのはタブーです。」
社長「正直に伝えたほうがいいのかと思っていました。」
安田「正直であることは大事ですが、伝え方とタイミングの問題です。第三四半期くらいまでは、『改善努力によって赤字回避は可能』と説明するのが基本です。」
社長「それでも赤字が避けられない場合は?」
安田「決算報告と同時に対応策を説明するくらいのつもりで、早めに準備しておくことです。大事なのは、ただ赤字になりましたと報告するのではなく、原因の分析と改善策をセットで伝えることです。」
安田「銀行が嫌がるのは、赤字そのものよりも、社長が状況を把握できていないことです。試算表を定期的に提出しながら、業績の変化を自分の言葉で説明できる社長は、銀行からの信頼も厚くなります。」
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カテゴリ:経営改善
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1.現金の動きから利益を読む社長
社長「安田さんのクライアント先に、数字に強い社長がいると聞いたんですが。」
安田「はい。年商100億円近い会社の社長で、30代の方です。毎月の業績をとても気にしていて、いつも試算表のできあがりが待ちきれないんです。」
社長「待ちきれない?」
安田「ええ。試算表ができる前に、自分で利益を予想しているんです。例えば、こんなやり取りがありました。」
安田「社長が『試算表はまだですが、現金の減り方からみて、先月はちょっと赤字だったと思います』と言うんです。」
社長「現金の残高から利益を推測するわけですか。」
安田「そうです。『いつもなら現金がこのくらい残っているのに、先月はこれしかない。だから、チョイ赤だろう』と。」
社長「で、当たるんですか?」
安田「最近、よく当たるんですよ。粗利が変動しやすい業種で、勘定科目も多く、利益の構造は決してシンプルではありません。それなのに、びっくりするような精度です。」
2.仮説を立てて数字を読む
社長「どうやってそこまで数字に強くなれるんでしょう。」
安田「ポイントは、仮説を立てて数字を読んでいることです。」
社長「仮説、ですか。」
安田「はい。この社長の場合、まず『現金の残高の動き』から『前月の利益』を予想します。」
安田「でも、予想が当たらないこともある。そうすると、現金と利益の間にあるもの、つまり売上高や粗利益率、銀行返済などが気になってきます。」
社長「予想が外れた原因を探るわけですね。」
安田「その通りです。そして、実際の数値で検証する。この繰り返しで、どんどん数字力が上がっていくんです。」
安田「要するに、『AがこうならBはこうなるはず』という因果関係の仮説を持って、仮説通りにいかなかったら原因を考える。このプロセスが大事なんです。」
3.的を絞って数字を見る
社長「でも、決算書や試算表って、数字がたくさん並んでいて、どこから見ていいか分からないんですよね。」
安田「まさにそこです。上から順に全部の数字を見ようとすると、かえって訳が分からなくなります。」
安田「だから、『まずAの数字を見て、次にBの数字をチェックする』という風に、的を絞ることが大切です。」
社長「AとBの組み合わせは、どんなものがありますか?」
安田「例えば、『利益→現金』『売上→利益』『売上→在庫』などですね。社長自身が気になっていることなら何でもいいと思います。」
社長「自分が気になることを起点にすればいいんですか。」
安田「はい。関心がないと仮説は立てられません。だからこそ、自分が気になるテーマから入るのが一番です。」
4.安田流の決算書の読み方
社長「安田さん自身は、どうやって決算書を読んでいるんですか?」
安田「私の場合、中小企業の決算書を3期分並べて、だいたい5分で資金繰りの状況を推定します。」
社長「5分で?」
安田「はい。時間を節約するため、損益計算書は読みません。3期分の貸借対照表を横に並べて眺めます。」
社長「えっ、PLを読まないんですか。」
安田「読まなくても、かなりのことが分かります。まず借入金の増減をチェックします。例えば、借入が増え続けているとします。」
安田「次に、繰越利益剰余金を見ます。これがほぼ同額で推移していれば、利益はトントンということです。」
安田「最後に、現預金の増減をチェックします。ここで現預金が減り続けていたら、どうでしょう?」
社長「借金が増えて、利益がトントンなのに、現金が減っている……。」
安田「そうです。借入が増えて利益も出ているなら、現金は増えるはずですよね。現金が増えていないなら、どこかに穴が開いていて、おカネが漏れ出しているということです。」
社長「なるほど。かなりネガティブな読み方ですね。」
安田「超ネガティブです。でも、これがなかなか使えるんですよ。教科書には書いていない読み方ですが、実践を繰り返すうちに、自然とこう読むようになりました。」
安田「社長が数字に強くなるプロセスも同じです。まず仮説を立てる。数字で検証する。外れたら原因を考える。これを繰り返していくだけです。」
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銀行交渉に必要な基礎知識から、資金繰り改善の実務対応まで。
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出版社 : 日本実業出版社
発売日 : 2023年9月29日
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