リスケから抜け出せる会社、抜け出せない会社の違い
1.「脱リスケ」とはどういう状態か
社長「リスケから抜け出すには、返済額をもとの金額に戻さないといけないんですか?」
安田「必ずしもそうではありません。毎月の返済額が払える金額になるよう借入期間を延長したり、新規融資で借換えを行って返済を巻き直す方法もあります。」
社長「借換えで脱リスケというケースもあるんですね。」
安田「はい。実際のところ、ほとんどの会社は融資でリスケから抜け出しています。つまり、銀行が融資に応じる財務内容に復活するということです。だから、従来の返済額のことはあまり気にしなくてもいいですよ。」
2.抜け出せる会社の共通点
社長「脱リスケできた会社には、何か共通点がありますか?」
安田「比較的、銀行借入が少ないことです。業種にもよりますが、借金は年商の半分程度、というイメージですね。」
社長「借入が多すぎなければ、業績が回復したときに融資が受けられるようになるわけですね。」
安田「その通りです。借入の規模が一定の範囲に収まっていれば、利益が出るようになったときに自然と道が開けてきます。」
3.抜け出せない会社の典型的パターン
社長「逆に、リスケから抜け出せない会社はどういうタイプですか?」
安田「極端に借金が多い会社です。」
社長「債務超過のような状態ですか。」
安田「はい。貸借対照表の傷が深すぎて、業績が多少回復しても、そう簡単にはリスケから抜け出せません。」
社長「具体的にはどういう状態?」
安田「典型的なのは、『支払利息で利益が減少』→『借入金の返済が進まない』」→『支払利息が減らない』という悪循環に陥るパターンです。リスケ企業は融資が受けられないので、売上アップにつながる投資ができない。そして、銀行は絶対に金利を下げてくれない。下げないところか、逆に上げようとしてくる。営業利益を利息に持っていかれるので、ちょっとしたことですぐに赤字になる。そんなこんなで、10年以上リスケすることになります。」

4.決算書の場当たり的な作成が傷を広げる
社長「借金が膨らんでリスケから抜け出せない会社は、なぜそこまで借金が増えてしまったんでしょうか。」
安田「かなりの数の会社が、決算書を場当たり的に作成したことで、必要以上に傷を広げています。」
社長「場当たり的に、というのは?」
安田「融資が受けられなくなる恐怖から、赤字を黒字に見せかけて、銀行の借金を限界まで増やしてしまうパターンです。」
社長「粉飾に近い話ですね。」
安田「はい。このパターンでは、社長自身がどのくらいお金が足りないかを把握していないことが多い。追加の借入でなんとかなると、売上回復を待つなどして問題を先送りしてしまうんです。」
社長「それは社長だけの問題ですか?」
安田「実は、この問題先送りに顧問税理士が関与しているケースが少なくありません。『今期は黒字にして、融資を受けられるようにしておいたら?』と社長にアドバイスする税理士です。」
社長「親切心からなんでしょうけど……。」
安田「そうなんです。でも、返済のことをまったく考えずに黒字決算を作って借入を増やすのは、問題を大きくしているだけです。」
安田「社長に知っておいていただきたいのは、『借金が限界を超えると、会社再建が困難になる』という事実です。問題はシンプルなんです。」
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