支払利息は売上の何%であるべきか?
今回は「支払利息・割引料」の見方について、解説します。
PLの営業外費用に計上する「支払利息・割引料」は、決算書の評価に大きく影響します。
売上高支払利息率(支払利息÷売上高×100)という比率があります。これがだいたい1%を超えていると、スコアリングモデルで過剰な債務を抱えていると判定されます。(支払利息には手形割引の割引料も加えます)
業種によっても異なりますが、売上高支払利息率は「0.5%」が普通です。デフォルト企業が1.5~2%くらいなので、1%は厳しい数字とみる必要があります。
売上高支払利息率が高くなるのは、銀行の借金が多いからです。借金が多い会社は、土地を持っていることが多いです。土地を持っていない場合でも、売掛金や在庫が過剰になっていたり、株や貸付金などムダな投資を行っていたります。そういう会社は、BSの左側(資産)を軽くして、借金を減らす必要があります。
銀行員は、こうした状況を平均借入レートで分析します。
平均借入レート=支払利息÷((期首借入残高+期末借入残高)÷2)
平均借入レートが高いことは、その会社に対する取引金融機関の評価が低いことを意味します。一般に、信用力のある会社ほど、銀行の借入金利は低くなるからです。
また、平均借入レートが4~5%以上になるなど、極端に高い場合は、高利の借入や簿外債務を隠ぺいしている可能性を疑われます。(逆に、借入レートが低すぎる場合は、期中に発生した支払利息を全額計上していない可能性を疑われます)
営業利益から経常利益への流れを見ると、その会社がどのくらい厳しい状況にあるかが分かります。
たとえば、3年連続で売上が伸びて、営業利益が増えているのに、経常利益が出ていない会社。
このパターンでは、営業利益を支払利息に食われてしまっています。銀行の金利が営業利益を吹き飛ばすのです。
「こんな低金利の時代に、そんなことあるの?」と思われるかもしれません。
銀行に借入を依存している会社には、銀行はできるだけ高い金利を取ろうとしてきます。特にリスケしている会社は、銀行間の競争原理が働かないため、3%以上の高い金利を払わされることが少なくありません。「保証協会付で3.5%とか、ふざけるな~」と憤りを感じることもあります。
頑張って営業利益を稼いでも、支払利息と保証料に消えて、借金は一向に減らない・・・。
これでは銀行と保証協会のために働いているようなものではないか・・・。
営業利益~経常利益の欄には、そういう悩みが表れます。
売上高支払利息率がどれくらいになっているか、一度、確認してみましょう。