中小企業の経営改善に強い財務参謀│安田順

中小企業の経営改善に強い財務参謀│安田順

【対応地域】 全国(特に、東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県、茨城県、栃木県)

金利交渉の前に押さえておきたい「実効金利」とは

金利の引き上げを要請されたとき、表面金利だけを見て交渉していませんか。

銀行員が内部で見ているのは「実効金利」です。この数字を知っておくと、金利交渉の武器になります。

1.金利が上がると利益はどうなるか

社長「金利が上がると、うちの利益にどのくらい影響しますか。」

安田「簡単に計算できます。たとえば、年商1億円、借入金4,000万円、営業利益率1%の会社を考えましょう。」

社長「営業利益は100万円ですね。」

安田「はい。金利が2%に上がると、年間の利払い額は80万円です。営業利益100万円のうち80万円が利払いに消えます。

社長「ほとんど残らないじゃないですか。」

安田「これは年商が10億でも100億でも同じように起きます。カギは『営業利益 vs 支払利息』のバランスです。支払利息を営業利益の5分の1以下に抑えることが目安です。」

2.実効金利とは何か

社長「銀行との金利交渉で、何を見ればいいですか。」

安田「表面金利ではなく、実効金利を見てください。」

社長「実効金利とは?」

安田「銀行がその会社から実質的にどれだけ稼いでいるかを示す利回りです。計算式はこうなります。」

実効金利 =(受取利息 - 支払利息)÷(貸出残高 - 預金残高)

社長「銀行の目線で考えるわけですね。」

安田「そうです。銀行はお金を貸して利息を受け取りますが、預金を預かると利息を支払います。実際に儲かっているのは、その差額です。実質の貸出額に対して、どれだけ稼いでいるか。それが実効金利です。」

3.実効金利を使った交渉のやり方

社長「実効金利が分かると、どんな交渉ができますか。」

安田「たとえば、3つの銀行と取引していて、A銀行の実効金利が突出して高いとします。」

社長「それをA銀行に言えばいいんですか。」

安田「はい。『実効金利で見ると、御行が一番高い。これまでの金利を維持してもらえないか』と交渉できます。」

社長「逆に、金利を下げたい場合は?」

安田「金利の高い銀行に預金を移すことで、実効金利を上げてあげる。その見返りに、貸出金利を下げてもらう交渉が可能です。」

4.歩留まり率も確認する

社長「他にチェックすべき数字はありますか。」

安田「歩留まり率です。計算式は単純です。」

歩留まり率 = 預金残高 ÷ 貸出残高

社長「これは何を意味しますか。」

安田「貸出に対して預金がどれだけ確保されているかを示します。たとえば、貸出1億円に対して預金が5,000万円なら歩留まり率50%。預金が1,000万円なら10%です。」

社長「銀行にとっては、歩留まり率が高い方がいい顧客なんですね。」

安田「その通りです。歩留まり率が高い会社は、銀行から安定した金利を提供されやすくなります。逆に歩留まり率が下がっている会社は、利上げ要請を受けやすくなります。」

5.まず自社の数字を把握する

社長「実効金利と歩留まり率を計算するには、何が必要ですか。」

安田「取引銀行ごとの預金と借入金の平均残高、それぞれの利息額です。決算書と銀行の取引明細があれば計算できます。」

社長「銀行員もこの数字を見ているんですか。」

安田「当然、見ています。銀行員は実効金利や歩留まり率を考えた上で、利上げ交渉に臨んでいます。こちらも同じ数字を持っていれば、対等に話ができます。」

社長「まずは自社の数字を整理してみます。」

安田「それが一番です。取引銀行ごとの実効金利を並べてみると、『この銀行にはこう交渉しよう』というヒントが見えてきます。」

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