中小企業の経営改善に強い財務参謀│安田順

中小企業の経営改善に強い財務参謀│安田順

【対応地域】 全国(特に、東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県、茨城県、栃木県)

金利交渉の出発点は「信用格付に基づく基準金利」の確認

社長「銀行から『金利を上げさせてほしい』と言ってきたんですが、どう対応すればいいですか?」

安田「まず聞きますが、金利はいくら上げると言ってきましたか?」

社長「0.15%と言っています。短プラが上がったからということで。」

安田「0.15%なら、今回の短プラの引き上げ幅と一致しています。それ以上を要求してきたら、交渉が必要です。」

1.短プラとは何か

短期プライムレート(短プラ)は、変動金利の基準金利です。メガバンクがもっとも低く、信用金庫などは高くなります。

実際の借入金利は、短プラに「+α」が加算されて決まります。この「+α」は、企業の信用状況や取引関係によって各銀行が独自に決定するため、短プラの基準が多少異なっていても、「短プラが高い銀行=借入金利が高い」とはならないのです。

社長「では、何に着目すればいいんですか?」

安田「着眼点は『引き上げ幅』です。日銀が利上げをしても、短プラの引き上げ幅は各金融機関で一律になることが多い。また、短プラは短期融資だけではなく、長期融資の基準金利にも使われています。銀行から『長期プライムレートが上がります』と言ってきたら、それも短プラがベースになっています。」

2.金利アップにあっさり応じてはいけない

日本全体が「金利のある世界」に移行している中、ある程度、金利がアップするのはやむを得ません。

ただし、その流れに乗じて、必要以上に引き上げられては困ります。

安田「銀行の担当者は本部から『可能な限り、コスト上昇分を金利に上乗せせよ』という指令を受けているはずです。あっさり応じてしまうと、次はこれ、その次はこれ、といった具合に次々と金利を上げられる恐れがあります。」

社長「では、どこから交渉すればいいですか?」

3.「信用格付に基づく基準金利」を確認する

安田「まず確認すべきは、信用格付に基づく基準金利です。」

銀行は、信用格付ごとに基準金利の一覧表を持っています。マトリックスの表を思い浮かべてください。

タテ軸には、正常先A(超優良)、正常先B(優良)、正常先C(普通)といった信用格付が並んでいます。ヨコ軸には、「短プラベースの基準金利」「TIBORベースの基準金利」「長期固定金利」といった項目が並ぶ。

担当者は、この表から基準金利を確認し、そこに調整を加えて最終的な貸出金利を決めています。

社長「つまり、金利アップには根拠があるはずだということですね。」

安田「そうです。銀行員から金利アップの依頼があったときには、『当社の信用格付に基づく基準金利は何%上がったのですか?』と聞いてみてください。明確な回答は得られなくても、理屈を共有したいという姿勢を示すことで、必要以上の金利アップを回避できます。そのうえで引き上げ幅に納得できなければ、他行の話を出す、という流れがよいと思います。」

社長「信用格付は自分で確認できますか?」

安田「MCSS(中小企業経営診断システム)で推定できます。イザというときは、MCSSの結果を銀行に提出しても構いません。」

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