社長の判断に「節税に”も”なる」は不要です
今回は少し揚げ足取りをしてみたいと思います。
以前、読んだ、コンサルタントの本に、次のようなことが書いてありました。
「融資を受けないと、会社を成長させることはできない。銀行に支払う金利は税務上の損金なので、借入は節税にもなる」
前半の「融資を受けないと、会社を成長させることはできない」は、投資すれば儲けられる状況を前提にすれば、間違っていません。成長には投資が必要で、投資には融資が必要になるからです。(ただし、その投資対象が見つからなくて困っている会社が多いわけですが)
一方、後半の「借入は節税にもなる」はなんだかヘンです。
もちろん金利は税務上の損金になります。
でも、節税になるという理由で、融資を受けるのですか?
それって、節税になるから接待交際費を使います、と言っているのと本質的には同じですよね。(それとも言外に融資と出資を比較しているのでしょうか?)
本来は「儲けられるチャンスがあるから、カネを借りて、投資する」というだけの話。
「節税に“も”なる」といった、論点のすり替えで、判断を間違えないよう、財務知識を磨かないといけない、と私は思いました。(この部分を除き、上記の本には参考になることがたくさん書いてありましたので、念のため)
たぶん、社長に必要なのは、健全な猜疑心をもって、本質とか正体を見抜くことです。MBAのような「知識の幅」は必要ありませんが、意思決定に影響する、ある一点において、理解の正確さや深さが必要になるのです。