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銀行とのリスケ交渉で社長が気をつけるべきポイント

最近の銀行はリスケ(返済の条件変更)の相談に割と前向きに応じてくれます。

しかし、銀行とのリスケ交渉は社長にとって簡単なものではありません。

そもそもリスケ交渉は銀行との1対1の交渉で、非常にデリケートな問題です。

リスケを依頼すると、「話が違うじゃないか!」と銀行員が怒りだすこともあります。

銀行から無理な条件を提示され、その対応に悩んでいる社長も少なくありません。

社長としては「何をどのくらい交渉できるか分からない」ので、銀行員に言われた通りにするしかない。結果、事業再生に必要な資金を確保できずジリ貧に陥ってしまうのです。

そのようなことにならないよう、ここではリスケ交渉で特に気をつけるべきポイントを解説します。

1.まずは「借りること」を交渉する
2.資金がなくなる半年前には申請を
3.無理な要求には粘り強く交渉する
4.返済は各金融機関に対して公平に行う
5.銀行を味方につけるポイントは「事業性評価」

1.まずは「借りること」を交渉する

社長「返済がきついので、この際、銀行への返済を全部リスケしようと思います。」

安田「慎重に考えた方がいいですよ。リスケすると新規融資が受けられなくなりますから。それに、一度リスケすると、なかなか抜け出せなくなります。経営が後ろ向きになって最後には力尽きてしまうことだってある。」

社長「いまの返済を20年の返済に変更できれば、なんとかなると思うんですよね。」

安田「返済額を一時的に減らすことは可能ですが、返済期間を20年に伸ばすのはまず無理です。銀行がリスケの契約に応じるのは通常6ヵ月、長くても1年なんです。その後は、契約期間が満了するたびに銀行と交渉して、契約を書き換えていく形になります。」

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社長「1回契約しておしまいではないのですね。」

安田「ええ。銀行としては契約期間を短く刻むことで、その都度、社長に“返済を増やせ”と催促できる。法的にはリスケの延長を断って、会社を倒産に追い込むことだってできるんですよ。」

社長「リスケって大変なんですね。じゃあウチみたいな会社はどうすればいいですか?」

安田「まずは、できるだけ追加融資を受けて資金繰りを回すことを考えるべきです。取引のある銀行に融資を打診してみましょう。融資で資金繰りを回せない場合はリスケですね。」

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【解説】

銀行の考え方は、“返済に回す資金が足らないのであれば、金融機関から借りればいい。それが無理ならリスケを検討する”というものです。

したがって、いきなりリスケを依頼するのではなく、めぼしい金融機関を回って、融資を受けられるかどうかを確認する必要があります。

融資を打診する際には「手元資金を厚くして、資金繰りに余裕を持たせたい」といった説明を行います。

融資を受けることが難しそうであれば、メインバンクに「いろいろと努力したのですが、リスケになりそうです」と切り出します。(この段階でメインが融資に応じてくれることが少なからずあります)

なお、融資を受けられるとしても、少額で、すぐに資金不足に陥ることが明らかな場合、その借入は見送るべきです。

借りた直後にリスケを申請するとトラブルに発展する可能性が高いからです。

2.資金がなくなる半年前には申請を

社長「取引のある金融機関すべてに当りましたが、融資は難しいと言われてしましました。今回は保証協会も応じないと言っているそうです。」

安田「そうですか。」

社長「前回、融資を受けてからまだ3ヶ月しか経ってませんから、あと半年くらいリスケしないで様子を見ようと思います。半年たてば貸してくれるかもしれません。」

安田「その考え方は危険ですよ。」

社長「なぜです?」

安田「御社はいま本業で利益があがってませんよね。下手すると赤字かもしれない。」

社長「残念ながらその通りです。」

安田「本業の儲けがゼロだとして、銀行への毎月返済が500万円。そうすると資金繰りは次のようになります。」

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安田「半年後に手元に残る資金は200万円。その時点でもし融資を断られたら、最悪の状態でリスケに突入することになります。」

社長「資金が少なすぎるということですか?」

安田「そうです。リスケになるといよいよ融資は受けられない。頼りになるのは手元に残ったおカネだけ。それがたったの200万円です。おそらく、御社の資金繰りは、消費税や社会保険料なども滞納して火だるまになるでしょう。」

社長「火だるまですか。。。どの道リスケになるなら、資金を持っているうちにリスケすべきということですね。」

安田「そういうことです。」

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【解説】

リスケしか手段がないという状態になったら、できるだけ早く申請して、キャッシュの減少を食い止めるべきです。

銀行には、「資金繰り予定表」「借入一覧表」「返済猶予の依頼書」などを提出し、毎月の元金返済を止める(または減額する)ことについて相談します。

<返済猶予の依頼書の例>
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リスケを依頼すると、銀行から「経営改善計画書を提出しないとリスケに応じない」と言われることがあります。

状況にもよりますが、銀行には、できるだけ本格的な経営改善計画書の作成は後回しにし、暫定的にでも返済を猶予してもらうことを交渉すべきです。

この場面で重要になるのは「資金繰り予定表」です。

銀行には「返済を減額しないと厳しい資金繰りになるが、返済を減額すれば資金繰りは回る」という説明が必要です。

このように、まずは暫定的に返済猶予を受け、猶予を受けている間に経営改善計画書を作成することを交渉すれば事業再生に必要な資金を確保しやすくなります。

3.無理な要求には粘り強く交渉する

社長「銀行から“リスケには応じるが、利息を払った上で元金を月100万円返済してほしい”と言われました。」

安田「御社はいま赤字で立て直し中ですから、月100万円の返済は無理ですね。できれば今後1年くらいは返済ゼロでお願いすべきでしょう。そうしないと会社がつぶれてしまう。」

社長「ゼロはさすがに厳しいのではないでしょうか?」

安田「銀行が承諾するかどうかは、社長の説明次第でしょう。いまの状態で月100万円をひねり出すには、相当な経費削減が必要です。経費削減のために社員の給料を極端に減らしたりすると、結局は業績に響いてきます。ムダは無くしていくべきですが、経費削減に走りすぎると、会社を再建できなくなりますよ。」

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【解説】

返済の交渉で大事なことは、「できない約束をしない」ということです。

銀行からムリな返済を要求されても、「その金額では、かえってご迷惑をおかけすることになります。~円ではなく、~円でお願いします。」と交渉します。

リスケを行った中小企業では、銀行に言われるがまま返済を行い、売上につながる経費(投資)を削ってしまうことがよくあります。

『リスケ→経費削減→さらに売上ダウン→半永久的にリスケ』が悪循環の典型的なパターンです。

業績を改善させるためには、成長に向けた資金が不可欠であることは言うまでもありません。

銀行には「使うべきカネ」を使えるよう粘り強く交渉すべきです。

業績回復の見通しがあり、一時的なことであれば、銀行は元金返済ゼロにも応じてくれます。

ただし、短期のつなぎ資金(売上入金とのヒモ付きで借りた資金)はそう簡単にリスケできないので注意してください。

つなぎ資金のリスケは、返済に回すべき資金を勝手に使い込んだことになるので、銀行員は「それだけは返してもらわないと困る!」と必死の形相で返済を求めてきます。

4.返済は各金融機関に対して公平に行う

社長「Z銀行がなかなかリスケに応じてくれません。借入が200万円しかないのにリスケはおかしい!返せ!って言うんです。面倒なので、Z銀行だけ返しちゃおうと思うのですが。」

安田「すぐに返してはいけません。リスケでは、各銀行への返済を公平に行うのが原則です。たとえば御社が返済できる金額が月50万円だとしたら、50万円を各行の借入残高のシェアで按分して返済額を決めます。」

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社長「Z銀行の返済は月2万ですか。それでZ銀行が応じてくれるかどうか・・。」

安田「そう簡単には応じないでしょうね。その場合はメイン銀行に相談してみましょう。この場面では、社長が勝手に判断しないことが大事です。」

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【解説】

リスケは、ほとんどの場合、借入のあるすべての金融機関に依頼することになります。

一部の金融機関をリスケから外すと、必ず他の金融機関が「こっちに返済しないで、そっちにだけ返済するのは不公平だ」と異議を唱えてくるからです。

金融機関がこだわるのは返済のことだけではありません。

担保や預金、金利などについても公平性が求められます。

たとえば、一部の銀行にだけ担保を入れたり、預金を移し替えたりすることは、他の銀行からみると不公平になります。

非メインの金融機関から何か条件をつけられたら、勝手に判断せず、メインバンクに相談しながら対応するが無難です。

5.銀行を味方につける最大のポイントは「事業性評価」

社長「売上を伸ばしてリスケを解消するには、どうしても仕入資金が必要です。制度融資を使って資金調達できないでしょうか?」

安田「残念ながら、リスケをしていると制度融資を受けるのも厳しいです。制度融資のほとんどは保証協会付融資ですから。ただ、メインバンクから短期資金を借りるということであれば可能性はゼロではありません。」

社長「短期なら貸してくれるのですか?」

安田「ええ。資金の使い道が明確で返済の見通しが立つ場合は貸してくれることがあります。ただし、事業性評価に対応した経営改善計画書を提出することが必要です。」

社長「事業性評価ってなんですか?」

安田「事業内容や成長性可能性を金融機関が評価することです。事業性評価に基づく融資は国の方針であり、金融機関はそういう貸出を増やさないといけない。リスケしている会社でも事業性評価によっては融資を受けられる場合があるのです。」

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【解説】

リスケした後も銀行が手形割引に応じるケースは少なくありません。また、資金使途がはっきりしている短期資金であれば、メインバンクが融資に応じてくれることもあります。

経営改善計画書を提出していることが、融資を受ける前提になります。

経営改善計画書は、計画期間がおおむね5年以内で、計画終了後に債務超過が解消する内容になっている必要があります。

また、リスケしながら融資を受けるには、メインバンクが事業内容を前向きに評価していることが必要です。

銀行員が「社長を信用できる」「事業内容に将来性がある」と思っていないと借りられないのです。

銀行の評価を得るには「ビジネスモデル俯瞰図やSWOT分析などの資料提出」「月次ベースの業績報告」などの情報開示がポイントになります。

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